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映画の感想つらつらと。

2023年ベストドラマ3選

2023年ドラマも見ました。

 

私は元々映画が好きで、このブログを始めた頃もとにかく毎日映画ばかり観ていた気がする。友人とよく映画とドラマのどちらが見やすいかという話になるのだが、あの頃の私は完全に映画支持派だった。全体のランタイムで考えれば映画の方が圧倒的に「タイパ」がよく、1つの作品を何話もかけて見たり、何シーズンにも渡って追い続ける必要があるドラマにはそもそも食指が動かなかった。1年ものの仮面ライダーを毎年追ったり10年かけて続いたインフィニティサーガとか見ているのに、である(まあ実際、私にとってそれらはもはや呼吸みたいなもので意識をしてする行為ではないという感覚になっている)。

 

ちなみにドラマ支持派の友人は一度に2時間も集中できないとか、2時間費やして見た映画が面白くなかったら損した気持ちになるとか、当然こらちも理解できる主張であった。しかしそれでも、感情の起伏やストーリーが1回2時間というコンパクトなパッケージに収められている映画の方が私にとっては見やすく楽しみやすい作品だった。

 

だが、完全映画支持の私も生活環境が変わり、映画を見る時間が捻出できない状況に追い込まれるとさすがに考えに変化が起こる。作品鑑賞に対する渇望は私を苦しめ、タイパとかそういうことを言ってられない事態に陥った。そこでようやく手を出したのが配信ドラマだった。2時間ストレートで席に縛り付けられるよりも、1回30分を複数繰り返す方が疲れた体でも集中できる。盛り上がるポイントも短い間にポンポンやってくるのでつい次のエピソードも見てしまう。あれよあれよという間にドラマの面白さに引き込まれてしまった。結果、今年は映画だけでなくドラマも頻繁に見ていた。むしろ映画より時間を費やしていたかもしれない。そんな私が今年見たドラマの中で特に面白かった作品を3つ紹介したい。

 

1.一流シェフのファミリーレストラン

2.ジェン・ブイ

3.BEEF/ビーフ 〜逆上〜

 

『一流シェフのファミリーレストラン

ドラマの真髄を見た一作。連続ドラマの魅力がふんだんに詰まった作品であり、類まれなる構成テクニックと役者の演技力に感服。主役のジェイミー・アレン・ホワイト、アイオウ・エディバリーも見事である。とにかく俳優の演技に全幅の信頼を寄せたショットが心地よく、ドラマではなく実際のレストランを覗いているようなリアルな空気感が魅力。怒涛の台詞量とバシバシ伝わる緊張感。とにかく体力を消費するハイカロリードラマだが、食べ応え抜群なのは間違いなし。

 

ジェン・ブイ

『ザ・ボーイズ』シリーズの風刺姿勢はそのままに、全く新しいキャストで挑んだスピンオフ作品。正直あまり期待はしていなかったが、蓋を開ければX-MEN好きの私が見たいと切に願っていたスーパーパワー・ティーンエイジャー・ドラマに仕上がっていた。当ジャンルの金字塔を打ち立てたとすら思っている。風変わりな能力を武器に社会の悪を暴こうと奮闘する学生たちの姿が輝かしい。シリーズの悪ノリ感とティーンのバイブスの相性がよく、メインタイトル以上に見やすい作品だった。

 

『BEEF/ビーフ 〜逆上〜』

人の醜悪な姿を曝け出した痛快なコメディ。「なにくそ!」とか「ふざけんな!」とか、みんなが普段胸に秘めている「獣」を解き放つ面白さと、檻から出てきた獣たちがぶつかり合う緊迫感。2人の男女が始めた些細ないさかいは、あっという間に大問題へと発展する。相手に弱さを見せてはいけないという意地が事態を悪化させ、2人の醜い争いは果てに超現実的な世界に到達する。分かり合える優しさも持ち合わせているが、牙を隠すわけにはいかない。厳しい世界で生き残るため葛藤する彼らの姿は泥臭く、ユーモラスでありながら他人事とは思えない深刻さも感じさせる。人間的な情調を感じさせる秀逸な一作。