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映画の感想つらつらと。

2022年ベスト映画10選

2022年11月より映画感想投稿を始めた当ブログ。今年もお終いということで年間ベストを決めたいと思う。

 

とは言ってみたものの当ブログでは特に気に入った3位まで順位付けをし、他7作品については順不同というかたちで選出する。理由としては順位をつけられるほど多くの作品を鑑賞していない点とトップ3以外はどれも甲乙付け難い点が挙げられる。タイトルクリックで感想ブログも見られるので是非どうぞ。

 

では、まず7選から。

 

 

『The Good Nurse』

ある看護師が引き起こした実在の事件をベースとしたサスペンス映画。

エディレッドメインの演技に圧倒されることは間違いないが、それだけで終わらせない真面目な映画作り。

狂気的という言葉で形容するにはあまりにも凄惨な犯行。ただこの人物にスポットを当て続けるのではなく、犯行を見て見ぬ振りをしてきた病院側の問題や告発者の奮闘により光を当てた作品となっている。過酷な労働を強いるなど問題のある医療現場に警鐘を鳴らすその姿勢が印象的だった。

 

 

『MONDAYS このタイムループ、上司に気付かせないと終われない』

洋画の特徴をうまく邦画に輸入した作品。SF映画かと思えばラストはハートフルな内容でほっこり涙する物語。夢を追うのに年齢もキャリアも関係ないと背中を押してくれる。

 

 

『The Menu』

映画を語る映画。料理をテーマにあらゆる創作物とそれを取り巻く環境に対して痛烈な批判を込めた作品。

自分の創作を簡単に発信できるようになった現代だからこそ、共感できる人も多い作品だと思う。

 

 

『Spiderman: No Way Home』

アメリカ公開は2021年12月でしたが、いろいろあって今年1月に流れ込んだ日本公開。

ビッグサプライズで驚かせるだけでなく、MCUスパイダーマン3部作の終演にして誕生譚という壮絶な幕引きに阿鼻叫喚。

3人のスパイダーマンはそれぞれ孤独に戦うヒーローだが、マルチバースを通して同じ境遇の「自分」たちに会い、一人じゃないと思えるようになったのは素敵なストーリーだ。

また、迷い込んだヴィランたちを倒すのではなく救済するという選択をしたのが親愛なる隣人スパイダーマンらしくもあり、MCUの次なるテーマに深く関係するものとも感じられ非常に興味深い作品だった。

 

 

『Turning Red』

残念ながらディズニー+配信にとどまってしまった「私ときどきレッサーパンダ」。

私はトロントに住むごく普通の女の子が主人公という舞台設定にまず心惹かれた。これまでおもちゃや動物、乗り物たちがメインキャラクターになることが多かったピクサーがいたって普通の人間を中心に据えたことが革新的で嬉しかった。もちろん主人公一家はレッサーパンダに変身する能力を持ち合わせているが、基本的に描かれる生活はクラスメイトとの日常である。この映画が多くの子どもたちに勇気を与える作品であってほしい。何はともあれレッサーパンダがめちゃくちゃもふもふで可愛いのと4☆TOWNとお経のコラボレーションが楽しいパーティー映画なのでおすすめ。

 

 

『The Batman』

3時間ととにかく長いがその長さが効いた作品。

悪者を懲らしめていたバットマンが苦しむ人を助けるために行動する決意が非常に感動した。自警活動を始めて2年という絶妙なタイミング。始めた頃の正義感や理念がずっと一貫される方が不自然に感じられるだろうし、だからこそ答えに辿り着いた彼に拍手を送りたい。幕切れの潔さも霧が晴れたようなすっきりとした気分になれて気持ち良い。

 

 

『The Wonder』

Netflixオリジナル作品。愛用Filmarksでとにかく鑑賞者数が少なかったのが印象に残っているが、今年のNetflix作品の中で特におすすめしたい一作。科学と宗教の対立を描いた歴史映画かと思えば想像しなかった方向に物語が転がり、受け取ったメッセージに膝を打つ。フローレンス・ピュー演じる主人公の生きる姿が魅力的。

 

 

続いてベスト3。

 

第3位 『THE FIRST SLAM DUNK』

年末は良い作品に巡り合いやすいとなんとなく思っているが本作もまさに滑り込みでランクインしてきた。漫画原作を知っている人もそうでない人も楽しめる完全新作ストーリー。原作者でもある監督自らがこだわり抜いた映像は目を見張る完成度。スクリーンから監督の愛情と情熱が溢れんばかりの作品。

 

 

第2位Top Gun: Maverick

俳優トム・クルーズは映画人という言葉(があるならば)に相応しい人物だと世界中の観客が改めて思わされた一作。いくら歳を取ろうがそのアクションに衰えは一切感じさせない。むしろ過酷さ、過激さを増していく一方で本人の体に問題が起きないか心配するばかりである。

 

第1位『NOPE』

年間1位を決めるにあたって非常に迷ったがこの作品を選んだ。ジョーダン・ピール監督は社会問題とエンターテイメントをブレンドするのが非常に上手で毎度誰も見たことがない作品を提供してくれることで信頼が持てる。(実際NOPEのインタビューで「誰も作ったことのない作品を作るのが常に映画製作の発端だ」という趣旨の発言をしていた。)前半のホラーサスペンス劇から後半のど迫力な大怪獣バトルまで、息つく間も無く繰り広げられる展開に興奮しっぱなし。空を見上げるようにスクリーンと対峙する鑑賞体験が何にも代え難い満足感をもたらしてくれた。また「見るー見られる」という構造や映画の起源といった要素が複雑に絡まり合った構成のおかげで鑑賞後も余韻に耽ってしまう作品だった。