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映画の感想つらつらと。

『ドント・ウォーリー・ダーリン』感想 今さらこの題材はちょっと...

フローレンス・ピューにハリー・スタイルズ、ジェンマ・チェンなどと映画界のニュースター達が揃い踏みした今作品。

 

面白くないはずがないだろ!と期待に胸躍らせて劇場へ行ってまいりましたが…

※ネタバレなし

 

Don't Worry Darling
監督:オリヴィア・ワイルド/2022年/アメリ

深刻なテーマを中身のない映画にしちゃダメだろ!

 

有害な男性性から脱出する女性というテーマはこれまでも数多く見てきたが、ここまで素直に、正直に作られた作品は見たことがない。

 

悪意の無い有害さという側面。自分の幸せは自分で掴みたい意思。メッセージは評価されるべきであり、女性に対するエンパワメントとして、男性に対する批判として然るべきものだと思う。ただその上で、今回の映画ではそのメッセージをやや直接的に表現しすぎているというか、映画という作品として見て楽しいものなのか疑問が残る仕上がりだった。社会に対する批判や警鐘を鳴らす作品といえば昨年の「プロミシング・ヤング・ウーマン」や「最後の決闘裁判」が記憶に新しい。前者は深刻なテーマを主人公の痛快さによってポップで取っ付きやすい作品(当然、作品自体が軽かったという意味ではない)として、後者は3人の視点の際から浮かび上がる残酷な現実描写が光る作品としていずれも上手な映画だった。

 

要するに、捻りもなく素直に映像にしたと見受けられる作りが作品そのものを陳腐にさせていると思うのである。幾度となく取り上げられてきたテーマで映像作品として上手くできたものが既に溢れている中で、取り立てて中身のない物語を作ってしまうことに失望する。主人公の戦いに対してのカタルシスや面白みが著しく欠けていたせいで、ただ現実のグロテスクさだけが残ってしまったのは看過できないのではないだろうか。夢の世界を舞台にした不可解な出来事も終には夢だったという種明かしの布石以上の要素がないように見え、全体的に散漫な印象を受けた。


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